ボロブドゥール見学テーマ

ボロブドゥール寺院ストゥーパ階に登る ボロブドゥール
ボロブドゥール寺院ストゥーパ階に登る

ボロブドゥール遺跡にのぼったら眺めがいいんだろな~。映え写真も撮りたいし。ところで強制的についてくる遺跡のガイドがテーマに沿って案内してくれるっていうけど、どんな感じ?

2022年からの試みで、史跡公園管理会社が遺跡見学用に7つのテーマを設定。マグラン県観光ガイドが同行し、うちひとつのテーマに沿って見学者に説明する段取りになっています。

以下、クリーム色の枠内は、史跡管理公園による各テーマの概要を訳したものです。

偉大な作品 Mahakarya

1200年前、ジャワ島に住まう人々が残した壮大な傑作をご覧ください。ボロブドゥール寺院の建築家たちの天才的な才能によって、人間が瞑想するための空間が作り上げられました。

これは感謝の気持ちを具現化したものです。その一例が「ラリタヴィスターラ」の浮彫です。よく見てください。この浮彫は、釈迦牟尼(シッダールタ)として生まれ変わった菩薩(ボディサットワ)が倫理的な教えを説く姿を通じて、あなたの意識を目覚めさせるでしょう。

「Mahakarya」は、インドネシア語で「偉大な作品」という意味です。

この言葉は、特に芸術、文化、建築などの分野で、優れた作品や偉大な創造物を指すために使用されます。例えば、文学の「Mahakarya」は、傑出した文学作品や名作を指すことがあります。同様に、建築の「mahakarya」は、壮大な建築物や偉大な建築の作品を意味します。この言葉は、インドネシアの文化や芸術において重要な位置を占めています。

大乗仏教 Mahayana

ボロブドゥール寺院で大乗仏教の概念を理解することで悟りを開きましょう。

階段を上りながら歩くことで、人と人との関係、人と環境、人と神との間における道徳的な教育の真髄を極めた崇高な概念を深く理解することができます。

「Mahayana」は仏教の主要な宗派の一つであり、サンスクリット語で「大乗」という意味を持ちます。

大乗仏教は、紀元前1世紀ごろに始まり、主に中国、日本、韓国、ベトナム、チベットなどで広まりました。アジアの文化と宗教の重要な一部であり、多くの国で信仰と実践されています。

大乗仏教は、個人の解脱だけでなく、他の全ての被り物と共に、全ての衆生の解脱を目指すという理念を持っています。これは「菩薩(ボディサットワ)」の道とも呼ばれます。菩薩は、悟りを開いた存在でありながら、自己の解脱を選ばず、他の衆生の救済に専念する存在です。

大乗仏教は、智慧と慈悲の両面を重視し、多くの経典や教えを持っています。また、慈悲や親善、共感などの価値を重視し、社会的な責任と共に、他者への奉仕や利他的な行いを奨励します。

一方、他の仏教の宗派である上座部仏教(テヴァヴァーダ)と比較すると、大乗仏教はより広範で包括的な教えを持ち、菩薩の道や仏性の概念に焦点を当てています。

曼荼羅 Mandala

古代ジャワ建築の傑作、ボロブドゥール寺院の壮大さを探検してみましょう。

東側から歩いていくと、寺院の完全な構造を見ることができ、シャイレンドラ王朝のマハラジャが創造主の偉大さを崇拝するために足を踏み入れた場所に立つことができます。レリーフの美しさを楽しみながら、古代ジャワの文化に包まれた仏教哲学における人生の概念を理解する旅に出るでしょう。

「Mandala(マンダラ)」は、サンスクリット語で「円形」または「円環」という意味を持ちます。幾何学的な模様や図形が中心に配置された円形の図形やデザインを指します。

Mandala は、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教、チベット仏教など、さまざまな宗教やスピリチュアルな分野で重要な役割を果たしています。それは宇宙の構造や秩序を表し、神聖な空間や神聖なエネルギーの中心点とされています。また、瞑想や宗教儀式、個人的な内省の道具としても使用されます。

Mandala は、幾何学的なパターン、象徴的なイメージ、神聖なシンボル、または神や神聖な存在を表現することがあります。それは内的な探求や統一の象徴としても解釈され、個人の成長や平和、調和の追求を助けるツールとして広く利用されています。

仏塔 Caitya

古代社会の生活に興味がありますか? 

仏塔は、8世紀から10世紀の古代ジャワの社会的な側面を美しく刻まれた浮彫りで見ることができます。ジャータカ/アワダナの浮彫りは、寺院の壁に彫られており、その中に古代ジャワの社会生活の一端を垣間見ることができます。円形のテラスと遺跡の中心にある仏塔に沿って歩きながら、仏塔の哲学に触れることができます。

チャチャイティアは、無限の力を持つ創造主への人々の崇拝を示すものとされています。


「Caitya(チャイティア)」は、インドネシアでは「チャンディ」と発音されています。Candi Borobudur→ボロブドゥール寺院 がそれです。つまり、チャイティアとは仏教やヒンドゥー教の宗教建築における特定の構造物や神聖な対象を指す用語です。具体的には仏教寺院や仏塔を指します。

仏教寺院や仏塔は仏陀や菩薩への敬意を表し、信仰と崇拝の対象となります。チャイティア(チャンディ)はしばしば円形の形状を持ち、仏教寺院の中心や重要な場所に建てられます。

一方、ヒンドゥー教におけるチャイティアは、神聖な場所や神像を指すことがあります。信仰心の対象であり、祈りや崇拝が行われる場所として機能します。

いづれにしても、宗教的な対象や建築物を指す用語がチャイティア(チャンディ)であり、これは信仰と精神性の真髄であり、人々の崇拝や宗教的儀礼の場として重要な役割を果たしています。

ダルマ Dharma

時空を旅する感覚を味わってください。仏教の叙事詩的な物語のレリーフは、古代ジャワ文明が最高潮に達した 8 世紀へとあなたを導いてくれます。

ここでは善財童子(スダナ)の霊的な旅を通じて、真理と真の善を追求するでしょう。多くの霊的指導者のもとで学び、涅槃に到達するために様々な手段で旅を続けるスダナの忍耐強さは、仏教の教えを求める人々にとっての模範となるものです。

最終的に神聖な旅へと歩みを進めるにあたり、これらの寺院の回廊を探索し、私たちは皆、彼らの足跡を辿ることになります。

善き友 Kalyanamitra

入法界品の浮彫に示されている善財童子の旅を通じて、善き友は真実と真の叡智の探求へと導きます。

この旅は、古代ジャワの時代の寛容さと人格教育の一形態を描写しており、異なる信念を持つ背景で生きる人物でも非常に寛容な存在です。

「Kalyanamitra(カリヤナミトラ)」は、サンスクリット語で「善き友」という意味です。この用語は主に仏教の文脈で使用され、仏教の実践において共に学び、成長し合う善き友や指導者を指します。Kalyanamitraは、精神的な道において相互に支え合い、助け合い、善行と智慧の発展を促す存在です。彼らは学びや教えを共有し、個人はもとより共同体の成長をもサポートする重要な存在とされています。

入法界品(ガンダウユーハ)とは華厳経の物語です。

善財童子(スダナ)が仏教に覚醒し、文殊菩薩の勧めに従って、善友(カリヤナミトラ)のもとを次々に訪ねて教えを請います。善友は善知識ともよばれ53人いるという設定です。

教えを請う旅の終盤には、弥勒菩薩や普賢菩薩と次々に教えを受け、最終的に法界、つまり悟りの境地に至る様子を描いた物語です。善友の中には、菩薩や修行僧など霊的指導者はもちろん、それ以外にも一見して俗人にしかみえない人々が含まれています。こども、売春婦、身分の低い者、商売人、船頭、女神、仙人などが登場し、仏法はどんな人からでも学ぶことができるということを暗に訓示しています。年齢、性別、職業、身分、貧富の差などこの世であらわれる事象には関係なく学ぶところがあると、入法界品は示唆しているのです。

ブミサンバラ Bhumisambara

壮大なボロブドゥールを描いたものがブミサンバラ、それを探求する準備はできていますか。宇宙の概念が結びついた寺院の美しさに陶酔することでしょう。

ジャータカの浮彫を見て物語を聞くことも、大人もこどもも忘れられない思い出となります。菩薩が慈悲の象徴として生物の形状で描かれ、現世の煩悩からの解脱への旅に誘われることでしょう。

ブミサンバラとは、ボロブドゥールを指す言葉です。

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